これまで２０００本近くのラジオドラマを書いてきましたが、今回のような試みは初めてでした。新進気鋭の６名の脚本家が、家族の一員、もしくはケアマネさんやヘルパーさんになりきって各々２本ずつ書く。それぞれの筆致と個性がぶつかり合い、唯一無二の作品ができあがりました。
ＦＭ徳島のスタッフさんの原案を立体的にする作業は楽しく、最後の締めは、絶大なる信頼を寄せる制作会社のシャララさん。
まずはぜひ、ご一聴ください！

おばあちゃんっ子な女の子・小春を担当しました。大切な人が認知症になった時、自分に何ができるのか、今何を知っておけばいいのか。今回改めて考えるきっかけになりました。会話の中で『家族だって毎日笑っていい』という台詞を書きました。ヘルパーさんやケアマネジャーさんと交流する中で、おばあちゃん、支える家族、皆の笑顔が戻っていく。それがこのラジオドラマの魅力だと思います。是非楽しんで聞いていただけると嬉しいです。

「自分」のこと、「家族」のことだからと一人で抱え込んでいませんか？
それは周りに迷惑や心配をかけたくないという善意からだとしても、事態を悪化させてしまうことがあるのが現実です。誰かに助けを求めるのは勇気がいるかもしれませんが、手遅れになる前に動いてみませんか？と、いう想いから書かせていただきました。
脚本家さんと協力して一緒にラジオドラマを書くのは、とても楽しかったです！何卒よろしくお願いいたします！

認知症の方の視点でセリフを書くと聞いた時は正直戸惑いました。認知症の方の目に世界はどう映っているのか、手記を読んだり話を聞いたりしてみてもいまいちピンときませんでした。でも、考えてみれば病気の有無に関わらず、他人の目を通して世界を見ることはできません。わかった気になるのは傲慢で、わからないと敬遠するのは寂しいことかもしれません。それでも人は不器用に絆を結ぼうとする。これはそんなラジオドラマだと思っています。

誰にとっても他人事ではない介護ですが、この物語の家族のように、何の準備もなくある日突然介護に直面することが多いのではないでしょうか。脚本の執筆にあたり、実際にケアマネジャーや介護職として働く方々にお話を伺いました。ケアマネジャーは何よりも利用者や家族に寄り添う存在だと仰っていたことが心強く感じました。介護現場についても初めて知ることばかりで、私自身も改めて介護のことを考える機会になりました。

近藤真一は、家のことを妻に任せっきりにしていた父。
母が認知症になった時、真一は家族とどう向き合い、どう行動するのか……？
北阪昌人さんとFM徳島の皆さんの下、現場の最前線で働くアイネットの皆さんのお話をうかがいながら、この物語は誰にも起こりうることだと感じながら書かせて頂きました。
このドラマをきっかけに、介護や福祉に興味を持たれている方が、アイネットをはじめ、プロの方々に相談するきっかけになれば幸いです。

今回、ホームヘルパーの視点から物語を描かせていただきました。
ホームヘルパーの方に取材を進める中で、「自分だったらどうして欲しいだろうと考えた上で介護している」というお言葉が強く胸に残っています。
支援とは、相手の思いを尊重した上で成り立つものだということを改めて感じました。
どうかこの作品が、支援の輪を広げる一端を担えれば幸いです。